人体で最も強く、最大の腱!

なのに、致命的な弱点部分とも言われています…

スポーツ前の準備運動やストレッチでは、よく「アキレス腱を伸ばしましょう」といいますよね。
お風呂に浸かった時、足首をぐるぐる回しておくのも良いのだとか。


そもそもアキレス腱って何?

アキレス腱は、ふくらはぎの腓腹筋・ヒラメ筋と踵(かかと)の骨にある
踵骨隆起(しょうこつりゅうき)とよばれる部分をつなぐ腱のことです。

アキレス腱は、人体の中でもっとも太い腱で、足関節を伸ばしたり、
着地の際に生じる負荷を受け止めたりする重要な働きがあります。

アキレス腱

ただし! 急にジャンプしたり、力を入れて踏ん張ったりするなど、アキレス腱に過度の力が加わると、プツンと切れてしまうことがあります(このような状態を「アキレス腱断裂」といいます)。

ちなみに、アキレス腱が切れる時には、「ブツッ」「バシッ」という断裂音がして、踵を棒で叩かれたような感覚が起こるそうです。
あぁ~想像するだけでも恐ろしい・・・(涙)。

アキレス腱、切れたかどうだかどう分かる?

アキレス腱は皮膚の下にあるので、直接目で確かめることはできません(通常のレントゲン撮影でも異常を認めません)。
でも、アキレス腱が切れているかどうか確実に診断できる方法があります!

アキレス腱が切れた時の3大徴候

(1)アキレス腱の断裂部(皮下)がへこむ
(2)つま先立ちができない
(3)うつぶせで膝を直角に曲げた状態で、ふくらはぎを強くつまむと……
 A:足関節が底屈する→正常
 B:足関節が底屈しない→アキレス腱断裂の可能性大!

 ※(3)をトンプソンテストといいます。

アキレス腱の「アキレス」はギリシャ神話の英雄!

アキレウスが生まれて間もなく、母のテティスは、アキレウスを不死身にするため、
冥界の川にアキレウスの身体を浸しました。
これにより、アキレウスは不死身となったのですが、
川に身体を浸すとき、テティスはアキレウスの踵をつかんでいたため、
踵の部分だけが唯一生身として残ってしまったのでした……。
お母さん、うっかりさんですね。

アキレウス

やがて、アキレウスはトロイア戦争の勇将となるものの、トロイアの王子パリスに、唯一の弱点である踵を弓矢で射抜かれ、死んでしまいました。

この神話から、アキレス腱は「致命的な弱点」の代名詞として用いられるようになったのだとか。
確かに、アキレス腱断裂では、完治までには半年~数年かかるばかりでなく人によっては再断裂を起こすケースもあるのだとか。


よ~し! わたしもここらで気合を入れて、アキレス腱でも伸ばしておくか~!
……っていうか、完全デスクワークですけどね(汗)。

(文:真ノ宮ゆな/イラスト:matya)