看護学生には看護学生ならではの悩みがあるんです。勉強や実習、国試…考えるだけで不安がいっぱい。
でもなんとかこの状況を脱したい!つまずきがちなテーマを一緒に考えていきましょう。
生活指導の部分がなんだか高校生の時以上に厳しくて窮屈
看護学生 Hさん
看護師になりたいという夢をかなえるために実習で奮闘の毎日。
確かに提出物や試験、出席日数について厳しいのは分かるけど、生活指導の部分がなんだか高校生の時以上に厳しくて窮屈に感じてしまいます。
これで解決!
半泣き あらため 美咲さん
今年3年目を迎える看護師。学生時代を懐かしく思い出しながら、
相談に来る学生にアドバイスを送る。
なぜ、看護学生は言葉遣いや身なり、態度を厳しく指導されるのでしょうか。
身なり篇
厳しい指導の背景
その1: 「看護学」という学問自体が持つ倫理的な側面に起因します。
看護師を評価する指標「知識」・「技術」・「態度」のうち、「態度」はなかなか目に見えません。なので、身なりや言葉遣いで評価するということがありますね。
普段の講義や勉強で、知識・技術については評価できますが、看護の根底にあるにもかかわらず点数でつけることができない部分が「態度」であり、それが身なりや言葉遣いに表れるとされています。他の学部では、学業上でこの「態度」を評価するということはありませんから、看護学部の生活指導の部分にびっくりするのではないでしょうか。
その2: 臨地実習の場所は、現実の医療現場や生活の場である。
患者さんの療養生活の場、医療スタッフが働く場で学ばせてもらうのだから、緊張感をもってほしい。まず準備として身なりや言葉遣いに気配りを求める先生も多いと思います。
何十年も働いている看護師の先輩に「制服を着た瞬間に、背筋がピンと伸びてナースになるの」と言われたことがあります。身なりがきちんとしていれば、自然に気持ちが引き締まることを経験上知っているんですね。必要上ではありますが、普通ならば知り得ない個人情報を知るケースもありますし、少しの気の緩みが大きな事故につながりかねません。特に病棟を一歩でて気がゆるんでしまうことがあるようです。
病棟外でうっかり気が緩んでしまった実例
- ●ほっとひと息の昼食時、わいわいと廊下に横並びして、他の通行をさまたげてしまった
- ●実習に行く途中の電車の中で、患者さんや指導者さんのことを話しており、それを同じ病棟のスタッフが聞いていた
- ●病院近くのファーストフード店などで記録用紙を広げて、友達と患者さんの個人情報を話していた
- ●大学内のSNSに患者さんと撮った写真をアップしてしまった
などは実際にあった事例です。
言葉遣い篇
若者風の話し言葉はNGの例
- ●「はいはい」→「はい」は1回!
- ●「ありだと思います」→これは友達同士の会話。「可能です」「不可能です」がよい!?
- ●「ほぼほぼ合っています」→ほぼを漢字であらわすと「粗」「略」。日常会話ならOKですが、看護師が患者さんに使うと信用度という点で評価がさがります。
緊張しているので、敬語が使い切れない場合もあると思いますけどね(^_-)
態度篇
でも、案外、相手に悪印象を与えるのは言葉以外の態度や妙になれなれしい態度の方が多いようでもあります。
「先輩たちだって患者さんに対してなれなれしい感じだし、きちんとした言葉遣いをしていないと思う。そんな先輩に言われたくないなー」と看護学生が本音もらしていることがあります。そんな時、「そう感じるならばこそ、自分が看護スタッフになってからもきちんとした言葉遣いを続けてほしい」と切に思います。
近ごろは、医療現場でも「接遇」(こころをこめて応対する)について研修を受けるケースが増えています。また現実に患者満足度調査などを行うと看護師の言葉遣いや態度について指摘されるケースもあります。「接遇」の訓練あるいは苦情から学生を守るために、指導者さんは心を鬼にして看護学生を叱ります(指導者さんも人間ですから、たまに、ただ単に感情をぶつける「怒り」であることもあるかもしれませんが・笑)。
「怒られちゃった」と精神的に落ち込むのではなく、私たちに何かを気づかせるための「叱る」であるということ、患者さんやそのご家族に気持ちよく感じてもらえる身なり、言葉遣いをすることは自分自身の将来のためなるということに気づいてもらえるといいなと思っています。
(テキスト:sakura nurse イラスト:中村まーぶる)