今回は、国試対策で最も重要な「人体の構造と機能」についてです。
なぜこの科目が最も重要なのかというと、「人体の構造と機能」は、疾患や看護ケアの根拠を理解するために欠かせない知識だからです。
かくいう私が、看護学生時代に全国模試3位(約10,000人中)になることができたのは「人体の構造と機能」を理解していたからです!!

人体の構造と機能のポイント

1)人体の構造と機能の重要性を理解する
2)効率よく学ぶ順番を知る
3)内分泌が肝になる

それぞれの理由を説明していきます。

1)人体の構造と機能の重要性を理解する について

まず、人体の構造と機能を学ぶ理由について考えてみましょう。

(1)疾患の理解と診断の支援
患者さまの身体状態の理解に役立ち、看護師として正確な診断の援助を行うことができる。
(2)治療の計画とケアの提供
適切な治療法やケアプランを選択し、患者さまの健康を支援することができる。
(3)合併症の予防と管理
解剖生理の知識は、手術や治療の際に発生する可能性のある合併症の予防、早期発見に必要。理解していることで、患者さまの身体状態を常に把握し、適切な対応を取ることができる。

これら3つのことは、患者さまの命を守るために看護師として兼ね備えておかなければなりません。つまりこの科目の理解なくして、国家試験合格はむずかしいということになります。

問題を見てみましょう。

第95回AM83
22歳の女性。四肢のしびれと胸部絞扼感とを訴えている。胸部聴診所見は正常、呼吸数35/分、脈拍数88/分、整、血圧118/72mmHgであった。
この患者の動脈血ガス分析で最も考えられるのはどれか。
1. pH 7.30、PaO2 66mmHg、PaCO2 49mmHg
2. pH 7.37、PaO2 97mmHg、PaCO2 41mmHg
3. pH 7.43、PaO2 75mmHg、PaCO2 37mmHg
4. pH 7.53、PaO2 112mmHg、PaCO2 28mmHg
正解/4

症状やバイタルサインから、過換気症候群ではないかとアセスメントすることができます。
そのためには、そもそも酸塩基平衡を理解しているか、過換気症候群を理解しているか、そして、この患者さまにどのように対応するべきか、ということを考えていかなければいけません。
つまり、基礎的な人体の構造と機能を理解することは、国家試験問題だけでなく、看護師になってからの臨床の場でも役立つということです。

これまでのお話で、「人体の構造と機能」が重要ということは理解していただけたと思います。
しかし、学生さんであるみなさんにとって、「範囲が広すぎてどこから勉強すればいいかわからない」というのが現状ではないでしょうか?
実は、効率よく学ぶ順番があります。

2)効率よく学ぶ順番を知る について

解剖→内分泌→呼吸器→循環器→脳神経→……
この流れで学ぶことが最も効率よく点数が伸びます!!
では、なぜこの順番で学ぶとよいのでしょうか。

1番目が解剖である理由

ここでいう解剖とは、看護師国家試験の出題基準
「人体の構造と機能」
1.細胞と組織
2.生体リズムと内部環境の恒常性
7.血液
8.体液
の部分です。ぜひ、リンク先で小項目(キーワード)まで確認しておいてください(看-11ページ以降)。
これらを学習して、まずは、人体の基礎である「大枠」を捉えましょう。

2番目 内分泌

その次に、必ず攻略して欲しいのが内分泌(ホルモン)です。
内分泌はカタカナ用語が多く、理解が難しいですね。しかし、他の科目との関連が多くあるので、このタイミングで学んでおく必要があります。

そして、この後は、呼吸器、循環器、脳神経を攻略していきます。
これらの3臓器は、命に関わる重要臓器ですから、先に攻略することが何よりも大切です。
3番目 呼吸器(難易度☆)
4番目 循環器(難易度☆☆)
5番目 脳神経(難易度☆☆☆)
難易度が低い順に攻略して、ひとつ前の臓器を攻略できていることを学習の自信につなげていきましょう。

つまり、人体の基礎的な働きを理解し、次に重要臓器を押さえる、という順番で学ぶことが効率の良い学習につながる、というわけです。

3)内分泌が肝になる について

解剖→内分泌→呼吸器→循環器→脳神経→……
2でも少し説明しましたが、この内分泌こそが解剖生理の肝になります。

内分泌を先に攻略する理由は、次の2点です。
(1)内分泌疾患や看護だけでなく、循環器、泌尿器、母性などさまざまな分野と関連している。
(2)疾患だけでなく国家試験に頻出される薬と関連が深い。

例えば、副腎皮質ホルモンを理解していることで解ける問題例を見てみましょう。

第110回AM43
Cushing〈クッシング〉症候群の成人女性患者にみられるのはどれか。
1. 貧 血
2. 月経異常
3. 体重減少
4. 肝機能低下
正解/2

クッシング症候群は、副腎皮質ホルモンのひとつであるコルチゾールの分泌が過剰になることで、満月様顔貌、中心性肥満、筋力低下、骨粗鬆症などの症状がみられます。そのひとつとして、アンドロゲン(男性ホルモン)が過剰分泌となり、女性患者においては月経異常がおきます。

もう1問見てみましょう。

第101回AM78
長期投与すると骨粗鬆症を発症するリスクが高まるのはどれか。
1. ビタミンD
2. ビタミンK
3. エストロゲン
4. ワルファリン
5. 副腎皮質ステロイド
正解/5

副腎皮質ステロイド薬の副作用には易感染、血糖上昇、満月様顔貌などの多様な副作用があります。骨粗鬆症は長期服用による代表的な副作用のひとつです。

これ以外にも、副腎皮質ホルモンに関する問題は頻出です。
例えば、
第108回 AM25 副腎皮質ステロイドの作用
第 95回 AM19 副腎皮質ステロイドの有害作用
第106回 PM120 プレドニゾロン投与患者への説明
第112回 PM76 プレドニゾロン服用患者の血液濃度変化
などが該当します。

内分泌は他科目と非常に多く関連しているため、内分泌をしっかり理解しておくことで、そのものに関する問題だけでなく、薬理やそれに関連する多くの問題を解くことができます。限りある時間を有意義に使うためにも、ぜひとも、学習する順番を意識して取り組んでみてください。

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